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2009年07月 アーカイブ

2009年07月07日

スペインの言葉の壁

7月に入り、スペイン各地ではもう本格的な夏を迎え、マドリードでは毎日力強い太陽がかんかん照りつけています。

前々回のコラムで書いていますが、我が家はサッカーのバルセロナファン。しかも海が好きなのに、どうして海がすぐにそこにあるバルセロナに住まないのか、と疑問に思う方がいらっしゃるでしょう(そんなにいらっしゃるわけないですよね)?実は、老後は海から近いところに住み、犬を飼い、夕日を眺めながら海沿いの遊歩道を散歩するというライフスタイルを勝手に思い描いています。でも、今はバルセロナには住めないと思っています。もちろん主人がマドリードの会社で雇っていただいているということもありますが、そのほかに大きな理由があります。

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     グエル公園から見えるバルセロナの海

それは、言葉の問題があるからです。バルセロナで普通に話されている言葉は、スペイン語ではなく、カタロニア語なのです。スペイン語という言い方は正しくなく、日本でスペイン語と言われている言葉はカスティージャ語と呼ばれています。カタロニア語の言葉でカスティージャ語に似ているものも多くありますが、でも方言という言い方はできないくらい、カスティージャ語とは違います。

学校でカスティージャ語を習うので、バルセロナをはじめ周辺のカタルーニャ地方でカタロニア語を話す人々もカスティージャ語も話せます。だから、私たちの外国人が暮らす分には不自由はしません。むしろ、カスティージャ語が母国語で早口でまくし立てるマドリードの人々の言うことより、ゆっくり話すカタルーニャの人々の話すカスティージャ語の方が聞きやすいです。しかし、学校で普通に話される言葉がカタラン語になるので、家庭で日本語を話すうちの息子たちにはかなりの負担がかかります。家では日本語、友達とはカタロニア語、学校でスペイン語と英語とフランス語などを勉強となったら、大変ですよねー。

そして、カタロニア語だけではなく、スペインにはその他、バスク地方の言葉、ガリシア地方の言葉、バレンシア地方の言葉など地方の言葉がいくつかあります。これらの地方の人々は、フランコ独裁時代に地方の言葉を使うことを禁止されていた歴史などから、地方を愛する気持ちがとても強く、よって国際交流が盛んになったこの時代に一見不便に思えるこれらの地方語を保護するという動きはまったく弱まっていません。

子供たちが独立するまではこのマドリードにいるのでしょうが、悲しいかな子供たちの独立もそんなに遠い将来ではないですねー。「バルセロナの風に吹かれて」とタイトルを変えていただく時も近いかもしれません(笑)。

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     カンプ・ノウの試合前の様子

2009年07月23日

プラド美術館ニュース2点

2009年1月、驚くようなニュースが舞い込みました。スペインの代表的な画家、フランシスコ・デ・ゴヤの代表的な作品とされていた「巨人(El Coloso)」がゴヤの手による作品ではないと、プラド美術館の研究によって結論づけられたと発表されたのです。

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      他サイトより拝借しました。

この作品が美術品収集家からプラド美術館に寄贈されたのは1931年で、当時はゴヤの研究はそれほど進んでいなかったそうで、まったく疑いの余地もなかったらしいですが、1991年に同美術館でゴヤの特別展を企画した時にゴヤの作品を細部にわたるまで研究がはじめられ、疑いがもたれるようになったということです。

作品の下の部分に描かれている逃げ惑う群衆や動物たちの描き方が他のゴヤの作品とは異なることが指摘されるようになり、そして、決め手は作品の左下の部分に「A.J」というサインが発見されたことだということです。最終的に、ゴヤの助手のアセンシオ・フリアという人の作品であろうと結論に達しました。

現在もこの作品はプラド美術館に展示されており、作者は「ゴヤの助手(Seguidor de Goya)」と記されています。これからはこの作品が他のゴヤの作品とどう違うのか研究者の気持ちになって見比べてみるのも、興味深いことではないでしょうか?

プラド美術館に関するニュースでもう一点。以前、プラド美術館に関するコラムを書いたときに、プラド美術館のサイトでは「オンライン・ギャラリー」があるけどあまり細かいところまでは見られないと評しました。そのあと、Google Earthであたかも絵の前にいるように、細部まで見ることができるようになりました。

興味のある方はぜひこちらでご覧になってみてください。http://www.google.es/intl/es/landing/prado/

インターネットやパソコンの技術の進歩には目を見張るものがありますが、実際に絵の前に立った時の感動は何物にも代えがたいものがあるはずです。みなさん、その感動を味わいにスペイン、マドリードへの観光を計画されてはいかがでしょうか?


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